akechi’s diary

今日も大丈夫です

【191115】読んだ:青崎有吾『体育館の殺人』

宝くじで20億円くらい当たったら、私有の体育館がほしい。

 

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【あらすじ】
降りしきる雨の日、風ヶ丘高校の体育館で男子生徒が殺された。
到着した警察は、体育館が密室状態であったことから、現場に居合わせた女子卓球部の部長、佐川に嫌疑を絞る。佐川の親友である柚乃はその犯行を信じられず、学校一の天才、裏染天馬に真相の究明を依頼するが……。

 

『館』シリーズのパロディです、って一発ネタかと思いきやとてもかっちりしていた。
著者の青崎有吾氏は「平成のエラリイ・クイーン」なんて呼ばれているらしい。たしかにケレン味や飛び道具性のない、犯人当てパズルとしての純度が高い本格ミステリで、美しくはあったのだけど、一方でトンデモ要素がないのがすこし物足りなくもあったり。これは個人の趣味か。

 

本シリーズで名探偵役を務めるのは裏染天馬(うらぞめてんま)くん。
やたら名前が格好いいところとか、社会性のないダメ人間であるところとか、これもまたミステリのお作法に則っている感があってある種の様式美を感じる。この手の様式美、個人的にすごく好きだな。星影龍三とか超かっこいい名前だと思う。

ただこの天馬くん、ダメ人間である由来が「度を超えたアニメオタク」という属性にあり、作中でも実在するアニメのパロディやネタが頻繁に登場するのだけど、アニメオタクという属性が必要だったのかどうかは正直判断がつかない。作中で有機的な役割を果たしていないというか、著者がパロネタやりたかっただけでしょという見方をすればそうも取れてしまうような。個人的には「いらなくない?」という気持ち寄りなのだよな。でも高校生にダメ人間という属性を付与しようとすると、こういう「コンテンツに度を超えて熱中している」という方法しかないのかな。しっかり高校に通ってる時点でダメ人間としては純度100%じゃないもんな……。

 

2019年もあとすこし。
今年読んだミステリだと今村昌弘『魔眼の匣の殺人』か七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』、陳浩基『13・67』のどれかがベストかなー。後者2冊は今年の作品じゃないけど。。思えば読書内容(ラインナップ)の振り返りって人生で一度もやったことがない気がする。年末にやろう。

体育館の殺人 (創元推理文庫)

体育館の殺人 (創元推理文庫)