【200124】読んだ:弘子ラザヴィ『カスタマーサクセスとは何か』
マネジメントする組織にカスタマーサクセスチームという部隊が新設された。まあまだ1~2名程度の小さいチームなうえ、商材がいわゆるサブスク系のサービスではない(ビジネスとしては冠婚葬祭とかそっちに近い)ものなのでそのまま取り入れるのは難しいにせよ、世の中のカスタマーサクセスの潮流や手法をひとまずインプットしなきゃなーということで読んだ。表紙が赤くて目立ってたし。
本書はカスタマーサクセスを実現する具体的手法には一切「触れていない」。タイトルどおり、カスタマーサクセスとはなにか、そしてそれは組織においてどう機能するのかのみについて書かれている。
序盤の方では「モノ消費→コト消費」とか「リテンションモデル」とか、あらゆる産業はソフトウェア化していく、みたいな、いつまで言ってるのそれ、もう2020年代なんですケド……みたいなワードが頻出していささかげんなりしていたものの(出版は2019年なので2020年代のくだりは半分言いがかりだし、基礎から解説している分むしろ親切な構成だと言える)、後半になりカスタマーサクセスをいかに組織に組み込むかみたいな話が主軸になってからはがぜん興味深く読んだ。ノウハウや語り口が鮮やかだったというよりは、カスタマーサクセスが機能する組織を作るのってマジのマジで困難だから腹くくれ、みたいな迫力が伝わってきたのがよかった。
Q. カスタマーサクセスチームをより効果的に機能させるには?
A. チームへの予算配分を見直してもらってください
↑こんな身も蓋もない、かつ本質的なことがたくさん書いてある。
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現職はほとんどベンチャー企業みたいなものなので、「カスタマーサクセス」の看板を楯にけっこうなんでもやっていい気がしている。「カスタマーサクセス」って言ってしまえば【1顧客あたりの売上(LTV)が上がること】と言えるわけで、それってマーケティングやブランディング以外の企業活動のほぼすべてなのではないか? ドラクエで「さいごのカギ」(どんな扉でも開けられるアイテム)を手に入れたときみたいな高揚感。やりたいことが山ほどあるぞ。勝負どころってやつなのかもしれない。