akechi’s diary

今日も大丈夫です

【190811】読んだ:星新一『ボッコちゃん』

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ショート・ショートの作品集。
表題作の「ボッコちゃん」では見た目人間と区別のつかない、めちゃくちゃ美人のロボットに惚れてしまった青年が愛のあまり彼女に毒を飲まそうとするが…という物語がたった6ページで展開されるからすごい。たぶんロ"ボッ"トだからボッコちゃん。たぶん…。

 

むかし、『世にも奇妙な物語』のいろいろな短編のあらすじだけまとめました、みたいなテキストサイトがぽつぽつあったのを覚えている人もいるかもしれないけど*1星新一の作品は読後感がわりと近いかもしれない。調子に乗ったり、誰かを謀ろうとした人が痛い目にあうところも思えば似ている。*2 

 

文章から過剰な装飾やノイズを削ぎ落としてとにかく透明にストーリーラインを読ませることに気を配っているので、あらすじっぽいのもそうだよねという感じ。文庫が新しく出るたびに時代を感じさせる表現を書き直していたあたり徹底していて、最初期の作品は1960年代のもののはずだけど、まったく古臭くない。自分の子供が10歳くらいになったら読んでほしいかも。いないが…

 

 

シンプルかつ寓意が強いこともあって100年先も読まれ続ける作家だと思うんだけど、22世紀の人たちにはどういった受け入れられ方をするんだろうか。古典というのもまた違う気がするよね。AIが膨大な作品を深層学習して、バーチャル星新一がはちゃめちゃに作品を量産してたらウケるな。 

 

未来のことはわからないけど、この人は生涯でショート・ショートを1000本以上生産した逸脱者なので、権利関係があやふやになった程度の将来には、サーヴァント的な感じでソーシャルゲームに出まくると思う。これはたぶん「正解」です。



*1:思春期にそういうサイトばかり読み漁っていた

*2:そもそも、実際いくつもの作品が『世にも奇妙な』の原作として採用されている