akechi’s diary

今日も大丈夫です

【190907】読んだ:チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』

ファイト・クラブって「ロッキー」の亜種みたいな作品だと思ってた。

 

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【あらすじ】
物質的にはなに不自由ない暮らしを営むリコール調査員の「ぼく」。高級マンションに住み、ブランド物の家具を買い漁るなか、しかし精神的にはなにも満たされず不眠症に悩む日々を過ごしていた。そんななか、ふとしたきっかけで知り合ったタイラーとぼくは些細なことから本気の殴り合いをすることになる。痛みと暴力の中で「生」を再確認したぼくたちは、「ファイト・クラブ」の創設を宣言する。"ファイト・クラブ規則第1条:ファイト・クラブについて口にしてはならない"――。日ごとに参加者を増すファイト・クラブと暗躍するタイラー。やがて立ち上がる全米騒乱計画と、ぼくたちがたどり着く結末とは。

 

流し見しかできていないけど、「ファイト・クラブ」といえば映画のほうがとにかく有名ですね。タイラーを演じるブラッド・ピットがめちゃくちゃにセクシーなやつ。映画と同様に内容は痛みと暴力と不安定さ、そして原作の方は特に祈りに満ちていて、そこはかとなく初期の村上龍っぽいような感じもする。ただ村上龍が、大人になり社会に組み込まれることになにか純粋性のようなものの毀損を感じていたのだとしたら、ファイト・クラブは我々を消費するこの物質的な社会に、生物的な本能から抗っているような感じであり、こっちのほうがマッチョ。ジュブナイルな繊細さが「俺に構わないでくれ」なら、ファイト・クラブは「自分の人生のルールを他者に委ねるな」なんですよね。似ているようで、結構違う。と、思うし、陳腐なことを言うようだけど、やっぱり後者でありたいよね。

 

ところで原作は長いあいだ絶版になっており、つい先日復刊したばかり。というかそもそも、復刊をきっかけに、なんとなくタイトルだけ知っていた「ファイト・クラブ」という作品に触れることができたというほうが正しい。Twitterに流れてきてくれてありがとう。ありがとうインターネット......。